ワタスゲは夏の陽に輝いて・・・

ワタスゲは夏の陽に輝いて

監督:齋藤新

1996年作品 20分 8mmフィルム

脚本・編集・録音・撮影:齋藤新

キャスト:五十嵐康弘、浅井翠

ストーリー:
椎名隆人と原順子。付き合い始めて早二年。近頃冷たい倦怠期。海生きたいとねだる彼女に椎名くん。あろうことか目指すは標高2000メートル。やっと登った頂上で、二人は破局の気配を感じ取るのでありました。

コメント:
それまで撮ってきた恋愛映画では、軽いタッチで恋の始まりを描くか、過剰にドラマチックにしてどちらか(あるいは両方の)死をもって恋の終局を描くか、どっちかだった。 この作品はそのどちらでもない。やっぱりそりがあわず別れることになるであろう男女の最後の悪あがきのデートを描いた。 といっても、そんなに野心的に始めた企画ではない。単に山に登って映画が撮りたかったのだ。タイトルの「ワタスゲ」とは高山植物でタンポポの綿毛のような外観の花を付ける。それが一面に咲き乱れていてとても綺麗だ。撮影の一週間前にテレビ局のバイトで登ったのだが、その時見た風景が忘れられず、適当に話をこしらえて一週間後に撮影した。山に大勢連れて行っても邪魔だから、登場人物は二人だけ、スタッフは僕一人。この三人以外ほとんど誰も関わっていない。 山大映研を代表する名優ヤスは実は体力が極端になく、山の中腹でへたばりそうになった。そのおかげで近作での彼の演技はちょっと精彩を欠いている。 山に登って降りるというただそれだけの映画で、暗い上に台詞は少なく、前作「寂しいバイオリン弾き」の延長にある作品だ。 ちなみに、これ以降、8年間フィルムで映画を撮っていない。